分かっていたけれど、半兵衛は有言実行の男だった。

結局、午後も休憩時間を除いて延々と滑り続け、半兵衛の宣言通りボーゲンからパラレルにレベルアップすることが出来たのだが、秀吉達と合流する頃にはなまえはすっかりくたびれてしまっていた。


「半兵衛に随分しごかれたようだな」


なまえを一目見た途端秀吉が苦笑してそう話しかけてきた。
彼と一緒にいたねねも上品に微笑みかけて「お疲れ様」と労りの言葉をかけてくれる。


「もうめちゃくちゃスパルタでした」


ちらと目線で訴えてみるが、スパルタ教官は涼しい顔でそれを受け流した。


「まだぎこちないけどパラレルまでは何とかいけたよ」

「ほう、それはなかなか優秀な生徒だ」

「半兵衛さんの教え方がうまかったからですよ」

「謙遜することはない。初めてでそれだけ上達出来たのは、きっと才能があったのだろう。半兵衛の指導が巧いのも間違いないが」

「褒めるに及ばない。君あっての僕だ」


半兵衛が誇らしげな顔で瞳をキラキラさせながら秀吉を見上げた。
いやいや、秀吉さん関係ないじゃないですか、と言いたかったが、なまえはぐっと我慢した。
本当にしょうがない人だ。


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