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雪の街、ケテルブルク。
皇帝が幼少時代を過ごした街であり、ジェイドの故郷でもあるこの街に、ルーク達一行は滞在していた。

寒冷地方特有の気候さえ除けば、治安の良いケテルブルクは比較的過ごしやすい土地である。
少なくとも、今までの道中様々な眼に遭ってきたなまえにはそう感じられた。

「北国だから…日本では、東北とか北海道にあたるのかな?」

「何ですの? なまえのいた世界のお話?」

思わず呟いた独り言に敏感に反応したのはナタリアだ。
好奇心旺盛な彼女は、よくこうしてなまえの言葉尻を捉えては、"異世界"の話を聞きたがる。

「そう、私がいた国の地名よ。寒いところと暑いところがあるのは一緒なのね」

「本当、不思議ですわね」

いまなまえ達は買い出しから帰るところだった。
短い期間の滞在とはいえ、この大所帯では連日レストランで食事という訳にはいかない。
だから、アルビオールを降りるなり寒い寒いと騒ぎ出したルークを、ガイやアニス達と一緒にスパに放り込むと、なまえはさっさと買い出しに出掛けたのだった。

ケテルブルクに到着したのは午後遅くなってから。
日が暮れれば更に気温が下がることを前回の訪問で知っていたから、早めに用事を済ませてしまおうと思ったのである。

案の定、しんしんと降り続く雪とともに気温は次第に下がり続けているようで、防寒の為に着込んだマントの中にも容赦なく冷気が侵入してきて、凍えるように寒い。



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