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「プトレマイオスが……!」

ガンダムナドレのコクピットの中、ティエリアは愕然とした表情でモニターを見つめていた。
映っているのは、CBのクルー達から"トレミー"の愛称で呼ばれている、輸送艦プトレマイオスだ。
国連軍の中でも一際異彩を放つ巨大な金色の機体の攻撃により被弾したらしい。
全壊は免れたものの、被害は軽微とはとても言い難い状況だった。
モニターの画像だけでもかなりの損傷が見てとれる。
抉り取られたかのように消失しているあの場所は……──確か、J.B.モレノとその助手のなまえがいるメディカルルームのある区画ではなかったか。
その事実が何よりもティエリアを打ちのめしていた。

「くっ…何ということだ…!」

思わず握り拳をコクピットの内壁へと叩きつける。
その拳は震えていた。

──また…また私は守れなかったのか…仲間を…大切な人を……!
ロックオンだけでなくなまえまで失うなんて……──

全身を喪失の怒りと哀しみで震わせながら、ティエリアは激しく後悔していた。
これが走馬灯というものだろうか。
決して長くはない、時間にしてほんの数秒の間に、彼女との出逢いから今に至るまでの様々な出来事が、次々と脳裏に蘇っては消えていく。

視界を掠めて飛んだ赤い光線、国連軍のMSの粒子ビームを目にしたティエリアは、こちらに迫り来る敵を睨み据えた。
そうだ。自分にはまだやるべき事が残っている。
この命が尽きるその時まで、一騎でも多くの敵を撃ち落とすのだ。
ロックオンの為に。
なまえの為に。
生きている仲間の為に。

「トランザム!」

命の最後の残り火を燃やすように、ナドレの全身が赤く光り輝いた。



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