「おはよう」

今朝は全然寒くないなと思いながら目を覚ましたら五条先生に抱き締められていた。
ぱっちりと開いた蒼い眼がすぐ間近から私の顔を覗き込んでいる。至近距離で拝む五条先生のお顔の威力半端ない。
いつお布団の中に入ってきたのだろう。全く気がつかなかった。

「あったかいねぇ。ずっとこうしてくっついていたくなる」

そう言ってぎゅうぎゅう抱き締めてくる。
確かに暖かいけれども、これは良くないんじゃないかな。

「昨日は僕東北まで出張だったんだけど、イエティみたいなのが相手でさ。まあ僕にしてみればただの雑魚だよね。でも、そいつが最期の嫌がらせで山全体を吹雪にしやがったから身体の芯まで冷えきっちゃったんだ。だから、なまえに温めて貰おうと思って」

「そうだったんですね。お疲れさまでした」

「うん、ありがと。なまえは優しいね」

すりすりすりすり。五条先生に頬擦りされる。それだけならともかく、私を抱き締めていた手がお尻の辺りを撫で回し始めた。明らかにそういう意図を持って。
セクハラ!いや、異性の教え子の布団に潜り込んできている時点でもうアウトなわけだけど。
そのどうにも倫理観が怪しい担任の先生は蒼い瞳をキラキラさせながら今にも唇が触れあいそうな距離から甘い声で言った。

「もうおはようのキスしてもいい?」

だめです。ちょっときゅんとしたけどだめです。



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