「お帰りなさい、なまえさん。お疲れさまでした」

にこにこと笑顔の安室さんに出迎えられて、疲れが一瞬で吹っ飛んだ。
笑顔が素敵とか、エプロンが似合うとか、色々な考えが頭をよぎったが、まずは。

「ただいまです、安室さん」

両腕を広げた安室さんの胸に飛び込み、すりすりと頬擦りする。
ああ……癒される……。

「先にお風呂に入って来て下さい。その間に夕食の用意をしておきますから」

「はぁい」

安室さんに勧められるままに浴室に向かうと、既にタオルと着替えが用意されていた。さすが安室さん。

先にメイクを落としてからお風呂に入り、頭と身体を洗う。いつもは適当に済ませがちだが、今日は隅々まで念入りに洗った。
ほかほかと湯気が立ちそうなほど温まってから上がると、テーブルには料理が並べられていた。

「今日は夏野菜と豚肉の冷しゃぶにしてみました。胡麻ダレで良かったですか?」

「はい、うわあ、美味しそう!」

安室さんが引いてくれた椅子に座り、手を合わせる。

「いただきます」

「どうぞ召し上がれ」

箸で豚肉を取って食べると、さっぱりしていてとても美味しかった。
ナスもきゅうりもトマトも胡麻ダレに絡めて食べたが、どれも美味しい。

「あ、タレがついていますよ」

「えっ、どこですか?」

「ここです、ほら」

安室さんが指の腹で私の口端についていた胡麻ダレを拭い取り、そのままぺろりと舐める。とんでもなくえっちな仕草だった。
綺麗なお兄さんは好きですかと聞かれたらもちろん頷くが、えっちなお兄さんも大好きだ。

「そんな目で見ないで下さい」

安室さんが微笑む。ドキッとするほどの色香を漂わせて。

「心配しなくてもご期待に応えてあげますよ。僕にもご褒美をくれますよね?」


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