「おはよ。なんで顔隠してるの?」

「恥ずかしいからです……」

「僕の身体なんて見慣れてるでしょ」

見慣れるわけがない。
ギリシャの彫像のような完璧な美を有する裸体は、何度見ても見慣れないでいる。
神々しくてまともに直視出来ない。
この美神のような男と前の晩睦み合った翌朝は、特に。

「昨日は僕に抱かれて、あんなに可愛くあんあん喘いでたのに」

「五条さんのばかっ」

「えー、酷くない?僕傷ついちゃったな」

ベッドから逃げ出そうとしたら、ぐいと腕を掴まれて引き戻された。
五条さんの大きく逞しい身体の下に。

私を見下ろしながら、五条さんはその美しい顔にサディスティックな笑みを浮かべていた。
思わず震えた身体に大きな手が這わされる。ねっとりと、昨夜与えた熱を呼び覚まそうとするように。

「僕が満足するまで離してあげない。覚悟しなよ」


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