「はい、これあげる」

「ありがとうございます。では、僕からも」

手を出して下さい。
そう言われて、両手をお椀型にして差し出した。

そこに、ぽとり、と小さなキャンディがどこからともなく落ちてくる。

「？」

頭に何か当たって落ちてきたと思ったら、ぱらぱらと次から次に雨のように様々なお菓子が落ちて来た。

「わあ……これは幻術？それとも本物？」

「さあ？どちらだと思いますか？」

「本物だったら嬉しいな」

「ふふ、食いしん坊さんですね。大丈夫、本物ですよ。食べてみて下さい」

「うん、ありがとう。いただきます」

個別包装されたチョコレートをひとつ手に取り、口に入れてみる。

「美味しい」

「それは良かった。僕も頂きましょう」

はい、とお菓子を渡そうとすれば、その手を取られて引き寄せられた。
唇と唇が重なり、ちゅ、と音を立てる。

「……それってイタズラじゃない？」

「いいえ、ごちそうです。僕にとってはね」

骸はそう笑うと、両腕でしっかりと抱き締めてもう一度口付けてきた。
私も骸の背中に腕を回してそれを受けとめる。

甘いキスにうっとりとなりながら、確かにこれはごちそうかもしれないと思った、ハロウィンの夜だった。