「涼しい風が吹いて来ましたね」

「そうだな」

「これなら今夜は冷房がなくても眠れそうですね」

縁側に赤屍さんと零さんに挟まれるように座り、花火が上がるのを待っていた。

赤屍さんは黒地に赤い縦縞しじらの浴衣、零さんは白地に藍色の縦縞しじらの浴衣を着ている。
つい先ほどまで三人で縁日の屋台を見て回って来たため、火照った肌に夜風が気持ち良い。

「あ、花火!」

生憎の曇り空だが、打ち上げられた花火は良く見えた。

「始まりましたね」

赤屍さんが言って、おもむろに私を抱き上げると、自分の膝の上に乗せた。
浴衣の裾を割って入り込んできた不埒な手が妖しく動く。

「ひゃ、あぁん!」

「何をやっているんだ」

義憤にかられた零さんが赤屍さんの腕から私を取り上げて、自分の膝の上に乗せた。

「よしよし、俺の所においで」

「うう……零さん……」

零さんと束の間見つめ合う。
すると、ごく自然に二人の距離はゼロになっていた。
零さんの形の良い唇が私のそれに重なり、甘い空気が流れる。

「それでは、私も」

「んうぅ!?」

零さんの唇が離れた途端、横から赤屍さんに唇を奪われる。
優しいけれど、強引で情熱的なキス。
零さんとのキスを上書きするかのようなそれは、明らかに零さんに嫉妬してのことだとわかった。

「良い機会ですから、彼女に私と降谷くんのどちらが良いか決めて頂きましょう」

「賛成だ。今日こそは俺を選んでくれ」

零さんが耳元で甘く囁いて、そのまま耳朶を食む。

「あ、んっ」

下は下で、浴衣の胸元をぐいとはだけられ、ぷるんとまろび出た乳房を赤屍さんがいいように弄んでいる。
乳頭に吸い付かれて思わず甘い声が漏れた。

「さあ、決めて下さい」

「俺達のどちらを選ぶのか」

「私ですよね?」

「俺だろう?」

「あっ、あっ、はぁぁん!」

とてもどちらかを選べる状況ではないことを察して欲しい。

もう花火どころではなかった。



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