こんな時間にお風呂に入るのは初めてな気がする。

たっぷりと泡立てたスポンジが肌の上を滑っていく感触が心地よい。
本当に『滑る』という表現が相応しく、赤屍さんは殆ど力を入れずに優しく優しく私の身体を洗っていった。
誰かに洗って貰うというのはこんなにも気持ちの良いことだったのか。
まさに、天にも昇る心地だ。
ふわふわとしていて、半ば魂が抜けた状態になってしまっている。

「どこか気持ち悪い所はありませんか」

「だ……大丈夫です」

「では、流しますね」

どうやらこの天国はそろそろ終わりらしい。
赤屍さんはシャワーで丁寧に泡と汚れを落としていった。

「さあ、温もりましょう」

赤屍さんに抱き上げられて、一緒に湯船に浸かる。
自分よりも大きな身体の男の人とお風呂に入るのは何時ぶりだろう。
お湯はちょうど良い温度で身体が程よく温まってきたせいか、赤屍さんと一緒だからか、なんだかとても気持ちが良くて安心する。

くたりと赤屍さんに身体を預けたままうとうとしていると、

「そろそろ上がりますよ」

と優しく声をかけられた。
再び抱き上げられて湯船から出され、バスタオルで手早く身体の水分を拭き取られる。

バスローブを着せられ、運ばれたのは綺麗にベッドメイクされ直された寝室。
ベッドに降ろされ、髪をドライヤーで乾かして貰えば、またもや睡魔に襲われる。

「昼食の支度をしてきますから、眠っていて構いませんよ」

赤屍さんに優しくキスをされ、私は夢心地のまま頷いた。

こんな贅沢な日曜日の過ごし方が他にあるだろうか。(いや、ない)


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