「お帰りなさい」

帰宅すると、骸が出迎えてくれた。

「今日も一日お疲れさまでした。よく頑張りましたね」

よしよしと頭を撫でられる。

「まずはシャワーを浴びましょうか」

骸に促されるまま浴室へ行き、イチャイチャしながら身体を洗って貰った。
お風呂から出たらバスローブを着せられ、ドライヤーで髪を乾かしてくれた。

「さて、始めましょう」

ベッドにうつ伏せに寝ると、まずは足の裏をごりごりと音が出るくらい拳でぐりぐりと悪いものを押し流される。

「痛いですか?少し我慢して下さいね。すぐ気持ちよくなりますから」

骸の言う通りだった。
思わずシーツを握って身悶えそうになるほど痛かったのは最初だけで、ザッと何かが流れた感じがしたあとは、ただもうひたすら気持ちいい。

足首、ふくらはぎ、とマッサージは徐々に上がってくる。
特にむくんでいたふくらはぎは優しく優しく撫で擦られて、そのあまりの心地よさにうっとりしてしまう。

足の付け根のリンパに流してから、腰をやんわり押された。
いたた、となるが、これもすぐ気持ちよくなった。

下半身がぽかぽかしてきたのを感じながら、マッサージは背中へ。
凝り固まっていた肩を指の腹でぐりぐり押されると自然と声が漏れた。

「うー…」

「凝っていますねぇ。これはつらかったでしょう」

骸の優しく労るような声にさえ癒される。

肩口から背中を滑り降りて腰まで擦るのを何回も繰り返される内に、うとうとと眠くなってきた。

「眠ってしまって構いませんよ」

「でも…」

「おや、僕が信用出来ませんか?」

「ううん。骸、大好き」

「僕も愛しています。では、ゆっくりおやすみなさい」

「ん…」

「クフフ…可愛い人だ」

骸の手が背中を滑る。
優しくさすっては、背骨にそってぐいぐいとツボ押し。
大きな手の平に肩甲骨を包まれてさすられている、と思った時にはもう意識が途切れていた。

その夜はいつになくぐっすり眠れたことは言うまでもない。


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