冷たい指先が優しく手首に滑り、脈を探る。
そのままじっと切長の瞳に見つめられ、なまえは頬を染めて顔を背けた。

「少し脈が早いですね。熱は?」

すっと手首から離れた手が今度は額に当てられる。
体温が低いのか、大きな手の平はひんやりとしていて気持ちがいい。

「微熱より少し高いくらい、ですか……体力が落ちていたところに風邪をひいたのでしょう。そのまま大人しく寝ていなさい」

優しい口調で釘を刺すと、赤屍は看病の支度を始めた。
勝手知ったるなんとやらで、場所を尋ねる事もなくタオルやパジャマを出して来て、ベッドに横になっていたなまえに手を貸して着替えさせる。
弱っていなければ恥ずかしくて死にたくなっていたことだろう。

「喉は──ああ、赤いですねぇ。やはりお粥にしましょうか」

着替え終わったなまえを再び横たえてしっかり布団を掛け、軽くキスをしてから、彼はキッチンに向かった。


少しうとうとしていたようで、次に目を開けた時には、卵を落としたお粥とスポーツドリンクを赤屍が運んで来るところだった。
妙な取り合わせに怪訝そうな表情をするなまえに、彼はクスッと笑い、

「ウィルスを殺そうとしている時は水分が必要なのですよ。スポーツドリンクが一番体内の水分に近い構成をしていますからね」

優しく微笑みながら、あーん、とスプーンを差し出す。

「食べたらゆっくり眠りなさい。私が側についていてあげますから……ね?」

頷くなまえに口付けて、舌を絡めてから顔を離した赤屍は、「私に移してしまえば早いのですが」と言って笑った。



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