「大丈夫ですか?なまえさん」

大丈夫と言えるかどうか怪しい状態だったが、かろうじて弱々しく頷く。

浴室からお姫様抱っこで運ばれた先は寝室のベッドの上だった。

二人とも素肌にバスローブを着ただけの姿。

それもそのはず。
週末だからと赤屍さんの自宅にお泊まりしに来た私は、洗って差し上げますよと言われるままに赤屍さんと一緒にお風呂に入り、美味しく食べられたばかりだった。

私をベッドに座らせた赤屍さんは、一度部屋を出て、またすぐに戻って来た。
手にはミネラルウォーターのペットボトル。
封を切ったそれを煽り、私に口移しで飲ませてくれる。
冷えた水が喉を滑り降りていく清涼感に、ほんの少しだけ体力が戻った気がした。

「髪を乾かしましょうね」

ドライヤーとブラシを手にした赤屍さんに、手際よく髪を乾かされていく。
優しく髪の毛を扱われるのは心地よくて、どっと眠気が押し寄せてきた。

「さあ、どうぞ」

髪を乾かし終えた赤屍さんによって仰向けに寝かせられる。

バスローブの紐をほどかれ、前をはだけられるのをぼんやりと感じたが、抵抗しようとは思わなかった。

「乾燥する時期ですから」と、ボディクリームを全身に丁寧にすり込まれていく。
これがまたマッサージをされているようで気持ちがいい。

うとうとと微睡みはじめた私の唇にリップバームを塗り込むと、赤屍さんは優しくキスを落としてからベッドに入ってきた。
そっと抱き寄せられて、腕の中に収まる。

「一週間お疲れさまでした。ゆっくり眠って疲れを癒して下さい」

優しく囁く赤屍さんの声がもう遠い。

「おやすみなさい。良い夢を」


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