「おやつの時間には少し早いですが」

そう言う骸に連れられてやって来たのは、近頃雑誌やテレビで紹介されている有名なチョコレート専門店だった。
店内に入った途端、甘い香りに包み込まれる。
ショーケースの中には味も形も様々なチョコレートがずらりと並んでいた。
流行りの店だからか、やはり若い女性客が多い。

「美味しそうですよね。でも、今日はこっちです」

骸に手を引かれて階段を上がり、二階へ。
天井が高く開放的な感じのする二階にはテーブル席が並んでいる。
骸と向かい合わせに座ると、彼はメニューも見ずにホットチョコレートを二つ注文した。

「夏はアイスチョコレートが美味しいんですよ」

骸が言った。

「ここのホットチョコレートは下の工房で作られたチョコレートが使われているので、濃厚で味わい深いんです」

間もなくホットチョコレートが運ばれてきた。

「さあ、どうぞ」

骸に促されてカップに口を寄せる。
ふうふうと吹き冷ましてから少し飲むと、なるほど、確かに濃厚なチョコレートの味がした。

「美味しいでしょう?いえ、いいんですよお礼なんて。僕が君に飲んでもらいたかっただけですから」

「」

「そうですか、どうしてもと言うなら、バレンタインアンケートで僕にチョコを下さい」

骸にチョコをあげる


「下の階でお土産も買ってあげますから」


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