「そんなに緊張しないでいいよ」

執務机の向こうに座る男性が困ったように微笑む。
ともすると気弱に見えてしまうほど優しい面立ちの青年だったが、彼こそがこの日本支部の最高責任者であり、そしてボンゴレファミリーのボスなのだ。

ボンゴレ10代目、沢田綱吉。

今、彼の手元にはなまえの履歴書が広げられている。

「一応書類も送って貰ったけど、本当はこんな面接だって必要ないくらいなんだ」

「当たり前だぞ」

リクルートスーツを着たなまえの足元にいた小さな赤ん坊が言った。

「俺がスカウトしてきたんだからな」

このリボーンには、最高権力者であるはずのボスでさえ頭が上がらないらしい。

「スカウトって、お前なぁ……」

机の上で組んだ手に顎を乗せた綱吉がはぁぁっと溜め息をつく。

「前の職場に張り付いて仕事ぶりを観察して尾行して自宅も見つけて毎日の暮らしも見て決めたって言うけど、それ完全にストーカーだぞ!?」

「それで実際優秀な人材が見つかったんだからいいじゃねーか」

「よくないよ!」

赤ん坊姿のヒットマンに突っ込んだ綱吉は改めてなまえを見た。

「もう一度確認するけど、本当にいいんだね? こう見えて俺達マフィアだから、これから君も危険な目に遭う可能性だって出てくるんだよ」

「はい」

覚悟は決まっていた。

「よろしくお願いします」

「決まりだな」

リボーンが満足そうにニッと笑う。
綱吉も嬉しそうに頬を緩めた。



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