金曜日の夜は、大抵赤屍の家に来てまったりと過ごすのが定番となっていた。
ちなみに、まったり出来るのはこの数時間だけで後はかなりハードな運動が待ち構えているのだが、それを差し引いても忙しい日々の中の貴重な癒しのひとときとなっている。

その癒しの時間、何となくつけたテレビではアニメ映画が放送されていた。
誰もが一度は名前を聞いた事があるであろう怪盗が主人公のシリーズだ。
画面の中で、日本刀で戦うキャラが小型飛行機の上に乗り、敵が撃ってくる銃弾を刀で弾いているのを見たなまえは、期待をこめた眼差しを傍らの恋人に向けた。

「…まあ、出来ない事もありませんが」

「ですよね!!」

爆走するトラックの上に乗って戦える男だ。
小型飛行機の上でもきっと可能なはず、と思ったらやっぱりそうだった。

「今度やってみせて下さい!!」

「それは構いませんが……飛行機や敵役はどうやって用意するのです?」

「そこは頼りになる友達に相談してみます!手配出来たらやって下さいね!!」

「…ええ」

ちょっと困惑気味にまばたきする赤屍なんて初めて見た気がする。
恋人の珍しい表情が見れたし、楽しい体験も出来そうだ。
なまえはすっかり満足して画面に向き直った。



 戻る 

- ナノ -