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「あれ? なまえは?」

「ああ、さっきキッチンに行ったようだ」

そう…、と残念そうに呟くと、スザクは椅子から立ち上がった。

「本当にごめん。ナナリー、おにぎり美味しかったよ、有難う」

「スザクさん…」

瞼を下ろした顔を心配そうに向けてくるナナリーにもう一度謝って、部屋を出る。
ルルーシュも立ち上がり、スザクと一緒にクラブハウスのエントランスへと向かった。

「このまま真っ直ぐ軍に行くのか?」

「うん。でも大丈夫だよ、ここから直ぐだからね。走れば五分もかからない」

大学の敷地内にある特派まではあっという間だ。

「じゃあ、ルルーシュ、また今度──」

「スザク、待って!」

スザクが外に足を踏み出したところで、何かの包みを持ったなまえが走ってきた。

「これ持っていって」

ルルーシュの横に並んだなまえが差し出した包みを受け取ったスザクの目が丸くなる。

「これ…もしかして、お弁当?」

「うん、急いで詰めたからオカズがバラバラだし、残り物だけど。食事、途中だったでしょう? お仕事が終わって時間が出来たら食べて」

「そうしろ。今から仕事じゃ終わる頃には食堂だって閉まってるだろ」

腕を組み、もっともらしく頷いてみせるルルーシュにスザクも頷く。

「そうだね、お言葉に甘えるよ。有難う、二人とも」

「ああ。無理はするなよ」

「いってらっしゃい。気をつけてね」

「うん。いってきます──って、何だか新婚夫婦の台詞みたいだね」

他意なくそう言えば、ルルーシュに「…俺に喧嘩を売っているのか?」と睨まれた。
本気で気分を害したわけではないはずだが、綺麗な顔をしているだけにルルーシュの怒った顔は迫力がある。
誤魔化すように笑うと、スザクは全力で走り出した。



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