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『警告する!』

不意に頭上から声が降り注ぎ、二人はハッと顔を上げた。
プロペラの音に重なって拡声器を使って呼びかけているらしき声が響く。

『今ならば弁護人をつけることが可能である! ただちに停車せよ!』

その言葉に続いて、何かが地面に当たる音と共に、再びトラックが大きく左右に揺れ動いた。
音から察するに、ヘリに銃撃されているらしい。
壁に背をつけ、なまえの身体を抱え直したルルーシュが舌打ちした。

「軍か…!」

さっき彼は、これはテロリストのトラックだと言った。
そうなれば、警察か軍隊が鎮圧にかかるのは当然の成り行きと言える。
しかし、トラックの中にいるなまえ達にとっては、軍から攻撃されている今の状況はとても良い状況であるとは言い難かった。
むしろ危険が増したようなものだ。
トラックごと破壊されてはひとたまりもない。

「出るのは危ないな、何かヤバそうだし。携帯で──」

ルルーシュがそう呟いた時、何処か近い場所から、シュッと空気を切るような音が聞こえてきた。
ルルーシュは咄嗟になまえを抱えたまま物陰に身を隠した。

大きな物体の横から気付かれぬようにそっと覗き込めば、歩きながら上着を脱ぎ去る少女の姿が目に飛び込んでくる。
恐らくテロリストの仲間だろう。

「アザブルートから地下鉄に入れる」

少女はここからは見えない他の誰かに向かって声をかけた。

「カレン、ここでアレを使ってしまおう!」

「それじゃ虐殺よ!」

「あ…そ、そうだな…」

男の声が怯んだ隙に、カレンと呼ばれた少女は奥の暗がりに歩き去った。

「あの女……」

ルルーシュの呟きがなまえの耳を掠める。
二人が見守る前で、暗がりに光が点り、何かの機体を浮かび上がらせた。
さっきの少女が操縦しているらしきそれは、突然開いたドアから外へ飛び出していく。
ルルーシュが駆け寄るが、間に合わず、ドアは再び閉じられてしまった。

「クソッ! 本物のテロリストじゃないか!」

ルルーシュが叫ぶ。
トラックはまだ止まらない。
それどころか、先程よりも振動がひどくなっている気がする。
急カーブを切ったらしい衝撃を何とかやり過ごすと、ルルーシュはなまえのもとへ寄ってきてポケットから携帯を取り出した。
しかし、示す表示は圏外。
舌打ちしたルルーシュの瞳がますます険しさを増す。

「この暗さと路面状況…地下鉄路線を走っているな」

行き先は何処かのゲットー。
ルルーシュがそうあたりをつけた時、ガクン、と一際大きくトラックが揺れた。
それきり動きが止まる。

「事故か…?」

「たぶん。あ、見て、ドアが!」

機械音とともに側面の扉が開こうとしていた。
さてはテロリストか、と物陰に隠れて様子を伺うが、一向に誰も現れない。
なまえを背に隠すようにして外を警戒していたルルーシュは、身を隠していた大きな物体の正面に回り、上を見上げた。
改めて見ると玉ねぎに似た形をしている。



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