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「シュナイゼル様、ロイドさん、二つだけ固まってて食べられそうなのがありました」

綺麗に盛り付けた皿を手に戻ってくると、なまえはそれをテーブルに並べて置いた。
途端にロイドが瞳を輝かせてテーブルに身を乗り出す。

「んん〜、もしかして二つとも味が違ったりする?」

「はい。こっちが紅茶味、こっちが蜂蜜入りです」

「アハッ、じゃあ僕は──」

「ダメですよロイドさん。先にシュナイゼル様に選ばせて差し上げないと」

めっ、と叱って、なまえは長身の皇子を見上げた。

「シュナイゼル様、お好きなほうをどうぞ」

「有難う、なまえ」

 では、君を。

そう言ってしまいたいのを我慢して、シュナイゼルは片方の皿を手にとり、優しく微笑んだ。
視界の端に映る、スプーンを咥えて物欲しげな顔でこちらを見ているロイドの存在は見えないふりをして。
これくらいの意地悪はされて当然。

(私の小鳥を逃がそうとするからだよ、ロイド)


愛しい小鳥。

今度こそ、逃がさない。



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