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「おはよう」

「おはようございます」

零さんにぴたりとくっついて甘えると、背中を撫でられ、頭の天辺にキスをされた。

「シャワー浴びる?」

「一緒がいいです」

「いいよ。一緒に入ろう」

零さんに抱き上げられてバスルームまで運ばれる。

シャワーを浴びながら、私達はお互いの身体を洗いっこした。
身体中に刻まれた零さんに愛された証を手でなぞるようにしながら身体を洗われるとゾクゾクした。
またいけない気分になりそうになったところで、零さんがにっこりする。

「昨日注ぎこんだのを掻き出してあげるよ」

そのあとはもう、誰もが簡単に思い描く展開となった。

零さんに後ろからガツガツ腰を打ち付けられて、私ははしたなくもあられもない声を上げてバスルームに響かせてしまった。

そして、文字通り掻き出されたあと、改めてシャワーを浴びてからバスルームを出た。
バスタオルで水気を拭き、お互いにバスローブを着せあう。

「着替えたら、海に行こう」

「はい!」

身支度を整えた私達はビーチに向かうことにした。


「えっ、泳げない?」

ビーチに向かった私達は、途中の道で通行止めにあっていた。

「嵐が近づいて来ているんですよ。今日は遊泳禁止になりました」

係員の人がそう説明してくれる。

残念だが仕方ない。

「早く建物の中に入ったほうがいいかもしれない。荒れそうだ」

零さんが言った。

先ほどまで晴れ渡っていた青空は不穏に曇ってしまっていて、強い風が吹き始めている。

ホテルに引き返した私達は、とりあえず朝食をとろうということになり、レストランへやって来た。

「ここの食べ物みんな美味しくて太っちゃいそうです」

「君は少し太っても構わないよ。でも、もし心配なら僕がトレーニングに付き合うから、安心してお食べ」

「うう…零さんのお世話にならないよう気をつけます」

まさに南国といった感じの美味しい食事でお腹を満たしてから、部屋に戻ろうとした時だった。

最初の悲鳴が聞こえてきたのは。

いつの間にか雨が降りだしていたことに気付いたのは、ソレを見たからだった。

手で口を覆った女性従業員が見上げる先に視線を向ける。
すると、どうやって登ったのか、ロビーのガラス張りの天井に誰かが倒れているのが見えた。
血塗れのその身体に降りだした雨が無慈悲に打ち付けている。

「きゃああああ!」

なまえ達と同じように何事かと駆けつけてきたカップルの女性のほうが死体を見て悲鳴をあげた。

「零さん」

「ああ」

零さんの行動は早かった。
スタッフの一人を捕まえると、すぐに警察に電話するように言って、自らその場を仕切り始めた。

「大丈夫です、騒がないで。絶対に外に出ないで下さい」

私はその間、あの死体はどうやってあそこに引き上げたのだろうと考えていた。

まさか、ガラス張りの天井の上で揉み合いになるわけはないから、どこか別の場所で殺してからあそこに上げたのに違いない。
でも、いったい誰がいつどうやって?

「なまえ、大丈夫か?」

「私は平気です。それより、零さんこれは」

「ああ。殺人事件だ。孤島という密室を利用した」

激しい風が吹き付け、ガラス窓を振動させている。
外を見ると、既に台風のような有り様だった。

密室殺人。

まさかこんな所で事件に巻き込まれてしまうなんて。


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