玲央ちゃんに今日は一緒に帰るから待っててね、と言われて部活が終わるのを待っていたら、一年生の部員の子がわざわざ教室まで呼びに来てくれた。 案内された場所にはまだ誰も来ていない。 玲央ちゃんは今頃シャワーを浴びているんだろうか。 下手したら女の私よりも色っぽいから困る。 後ろから足音がして、てっきり玲央ちゃんが来たんだと思って振り返った私はそのまま固まってしまった。 「あ…赤司、くん…」 赤い髪。赤と橙のオッドアイ。 赤司くんが出口を塞ぐように立っている。 「玲央は来ないよ」 「え、どう、」 「君に話があるからと言って先に帰って貰った。帰りは僕がちゃんと送るから安心していい」 全然まったく安心出来ない。 赤司くんがフッと笑った。 赤司くんが一歩近づいてきて、私が一歩下がる。 そんな事を何度か繰り返していると、背中がとんと壁にぶつかった。 行き止まりだ。 「僕を見るとガブを連想するらしいね」 赤司くんが私の顔の横に手をついた。 壁と赤司くんに挟まれて私は身動き出来ない。 「あれは嫉妬で逆上するところを表しているんだ」 赤司くんの顔が近い。 吐息が触れるくらいに。 唇と唇が触れあってしまうぐらいに。 「確かに僕も嫉妬のあまり豹変しないとも限らないな」 練習を終えたばかりの赤司くんの身体は熱くて。 私はその熱さから逃げようと必死にもがいたのだけど、赤司くんは絶対に逃してくれなかった。 |