動かそうと思ってもいないのに勝手に身体が揺れてしまう。 目蓋の裏で花火が爆ぜるように星が散る錯覚を覚えながら、天音は半兵衛にしがみついた。 力強い腕に抱きすくめられて高みに達する。 意識が正常に戻るまでどれくらいかかったのだろう。 暫らく折り重なるようにして抱き合って息を整えていた二人だったが、互いの視線が絡むと、どちらからともなく口付けを求めた。 「んん……ふ、…」 舌を絡ませながら、二人の腰が淫らに蠢く。 最後の一滴まで搾りつくすかの如く、膣壁がゆっくりとうねっていている。 熱い粘膜に包み込まれながら男根を舐め回されているようなその感触に、半兵衛は濃い紫色の瞳を細めて吐息をついた。 胸板に押し潰された天音の豊かな胸が大きく波打っている。 その適度な弾力を持つ心地よい柔らかさに、果てたばかりの自身に危うく再び熱が集まりかけた。 これではキリがない。 「大丈夫かい?」 半兵衛は妻の身体を抱き寄せて、その細い身体を自分の胸にもたれさせた。 しなやかな筋肉がついた胸板に頬を寄せて、天音は夢見心地のまま小さく頷く。 仄暗闇の中に白く浮かび上がる、目の前の美貌。 しっとりと湿った柔らかい髪が汗で額に張り付いているのを見て、無意識のまま手を伸ばし、指でそれを梳き上げる。 半兵衛も同じように天音の黒髪を慈しむように梳いてくれる。 身体の中と外で暴れ狂っていた熱が治まると、それまで意識の外にあった情報がようやく脳に染み入ってきた。 「……雨……?」 ああ…、と半兵衛が障子のあるほうへ視線を流した。 「少し前から降り始めていたね」 「全然気がつきませんでした…」 「夢中になっていたからだろう?」 まだ火照りを残した天音の頬をゆるゆると撫でながら半兵衛は艶然と微笑んだ。 全くその通りなのが少々悔しい。 「なんだか半兵衛さんのほうが余裕がありますよね。私も体力には自信があったんだけどなぁ」 「それは気をやった回数の違いじゃないかな。僕は二回しか出してないけど、その間君は何度も、」 「よ、よくわかりました! よくわかりましたから…!」 恥ずかしさのあまり半泣きになって半兵衛の口を両手で塞ぐ。 半兵衛は機嫌良さそうに笑った。 「回数も教えてあげようか?」 「半兵衛さんの意地悪!」 両手で顔を隠して恥じらう姿は少女のように初々しく、豊満な肉体とのギャップが絶妙で、何処とは言わないが再び半兵衛の肉体に熱がともった。 本当にキリがない。 |