幼なじみの半兵衛に告白されて付き合うことになった。
長い間の両片想いの末の恋の成就。
それを真っ先に報告したのは親友のかすがだった。

『そうか…良かったな、天音』

「うん。色々とご迷惑をおかけしました」

『気にするな。私達は友だろう』

「あのね、相手が上杉先生でも他の誰かでも、かすがが一番好きな人と結ばれて幸せになれたらいいなって思ってるよ」

『ばっ…か、からかわないでくれ!』

「ごめんごめん」

『…お前はいいやつだな』

「かすがのほうがずっといい子だよ」

お互い笑って、またねと電話を切った。
やはり持つべきものは気心の知れた親友だ。

スマホを片手に感動の余韻に浸っていたら、ドアが開いて半兵衛が入って来た。
その手には、かき氷が乗せられたトレイ。

「かすが君と話していたのかい?」

「うん」

幼なじみ兼初カレはエスパーらしい。
ちょっとビクつきながら頷けば、半兵衛はかき氷が盛られた皿とスプーンを私の前に置いてくれた。
白くてふわふわした氷が半兵衛の髪の毛に似ている。

「君の好きなブルーハワイだよ、天音」

「わぁ、ありがとう!」

そこいらのただ甘味料が入ったシロップじゃない。
ブルーキュラソーを使った本物のブルーハワイだ。

「いただきます」

早速スプーンで掬って食べる。
たちまちブルーキュラソーの香りが口の中に広がった。

半兵衛は、と見れば、スプーンを握ったまま私を見ている。

「なあに?」

「いや、僕の彼女は可愛いなと思ってね」

「半兵衛は世界一カッコいいよ」

「それはどうかと思うけどね」

半兵衛は苦笑したけれど、私は大真面目だ。
私の彼氏は世界一カッコいい。
いや、美しい。
十代でこれなのだから二十代になったらますます色気が増して大変なことになるんじゃないだろうか。

「他に好きな人が出来ても捨てないでね」

「君以外の女性を好きになることなどあり得ないよ」

半兵衛が真剣な顔で言うので、ほっとした。

幼なじみとしては長い付き合いだけど、恋人としてはまだ始まったばかり。
まだまだラブラブな私達だった。


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