「おいで、天音」

優しい声で招かれ、天音が彼のもとへ駆け寄っていく。
その彼女を自分の背に庇うようにして立ち、仮面の軍師は元就と向き合った。

「人拐いのような真似事をするなんて、君らしくないね元就君」

「貴様…何故ここに…!」

「勿論僕の天音を迎えに来たのさ」

「戯言を…!」

軍師仮面は小さく笑った。

「手の者から、新興宗教団体が奇妙な動きをしていると報告があってね、調べに来ていたんだ。元就君…いや、今はサンデー毛利だったかな? そろそろ君の愉快な仲間達も辿り着く頃だろう」

その言葉を裏付けるように、彼方から爆音が聞こえてきて城が振動した。
元就が舌打ちして輪刀を構える。

「天音は渡さぬ!」

「それはこちらの台詞だよ。君に天音は渡さない」

襲い来る刃を仮面の軍師は剣で弾き返した。

「諦めたまえ元就君、戦況は既に決している。それが分からない君ではないだろう?」

「黙れ! 貴様ごときの言葉に惑わされると思うてか!」

またもや破壊音とともに城全体が大きく揺れる。
それをきっかけに、ドン!、ドン!、と明らかに戦闘が始まったと思われる音と地響きが立て続けに起こり始めた。

知将二人が対峙していた頃。
城に突入したバサレンジャーは、今回の事件の親玉であるザビーともう一人意外な人物と対峙していた。
島津義弘である。

「おお、ザビー様…ザビー様の愛は偉大じゃ、おまはんも入信せんね」

「鬼島津殿! こんなとこで何を!」

島津は驚く若者達を見てからからと笑って言った。

「オイはここで切り込み隊長ばしよったい。ザビー様は愛とチョコレートを分け与えてくださるけん。チョコレートは、おまはんら若いもんだけのためのものじゃなかよ!」

「切り込み隊長、ソードマスター・チェスト! その愚かモノ共をフン縛りなサイ!」

ザビーの言葉に、島津を取り巻く空気が変わる。
バサレンジャー達も油断なく武器を構え直した。

「さ、そろそろ遊びは終わりたい。ザビー教団切り込み隊長チェスト、行くど!」



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