タイヤを軋ませて急発進する車の音。
ようやく煙の外に出る事が出来たバサレンジャー達が見たものは、奇妙な男の顔が車体にペイントされた痛車が猛スピードで走り去っていく光景だった。
どうやら仲間がいたらしい。
運転手役が車で待機していて、用事を済ませた元就を拾って逃走する……初めからそういう手筈だったのだろう。

「く……間に合わなかったか!」

「不覚……!!」

後一歩のところで逃げられてしまった悔しさに顔を歪めたバサラレッドの上に影が差した。

「真田の旦那!」

はっとして頭上を仰ぎ見ると、大きなカラスの足に掴まって空を飛んでくる佐助の姿があった。

「佐助!」

「奴らが向かった先はザビー城だ! 車は手の者に尾行させてる。いつでも乗り込めるぜ」

「おおっ!でかしたぞ佐助!!」

「へへっ、あんな派手な車じゃ見失うなって言うほうが無理ですよ、ってね」

「役に立つじゃねえか、猿」

「アンタに褒められるためにやったわけじゃないさ。俺様は真田の旦那の忍なんでね」

バサラブルーと佐助が剣呑な笑顔を交わし合う。
同じバサレンジャーとして闘う仲間とは言え、この二人はどうも相性が悪いようで、いつもこんな感じだった。

「よし、行くぜ!」

「うおぉぉお!!待っていて下され、天音殿オォーー!!」



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