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「インタビュー?」

怪訝そうに聞き返した半兵衛に、佐助はあくまでも愛想よく「そうそう」と返した。
今日の彼は新聞部の部員として生徒会室を訪れているのだ。

「今度の校内新聞に生徒会執行部の役員紹介記事を載せるから、ちょーっとだけそれの取材をさせて欲しいな〜、なんて」

「そういう事なら、去年の役員選出選挙後に既に取材を受けたはずだよ。役員の氏名と役職名、執行部の仕事に対する意気込みを載せただろう」

「うん、まあ、でもあれは生徒会役員が決定しましたよっていう告知みたいなもんだからね。今度はもっと深く掘り下げて、趣味とかプライベートな情報なんかも載せて行こうっていう企画でさ」

「プライベートねえ…」

どうも旗色がよろしくなさそうなのを感じた佐助は、攻める方向を変えてみることにした。

「俺様は生徒会の仕事に興味を持って貰ういい機会だと思うよ? 『ああ、こういう人が生徒会をやってるんだ』って親しみを持って貰えるし、役員の仕事の重要性についても考えて貰えるかもしれない。ねえ天音ちゃん、天音ちゃんならわかるだろ?」

「うーん……確かにみんなに生徒会の事を知って貰うのは良い事だと思うけど……」

「ほら! 天音ちゃんもこう言ってることだし、答えたくない質問には無理して答えなくていいからさ。この通り!」

「…仕方ないね…」

半兵衛が溜め息をつく。

「分かった、取材を受けよう。なるべく手短に頼むよ」

「あはー、了解」

佐助は早速懐からペンとメモ帳を取り出した。


まず初めは生徒会長である秀吉のインタビューから開始した。
好きな食べ物や休日の過ごし方などを、テンポ良く尋ねていく。
こういった質問は考える暇を与えずにパッと思いついたものを言わせるのがコツなのだ。

「じゃ、最後に趣味をどうぞ」

「リリアンだ」

「リ…リリアン? リリアンて、あのリリアン?」

「秀吉の趣味がリリアンだと何か問題があるのかい?」

「い、いや、そういうわけじゃ……」

「あれ、佐助じゃん。こんなとこで何やってんだ?」

思わず聞き返してしまい半兵衛に睨まれたとき、ちょうど良いタイミングで慶次が生徒会室にズカズカと入ってきた。

「新聞部の取材なの。校内新聞に載せるんだって」

「へええー、そいつは面白そうだな! なあ、俺も取材してくれよ!」

「君は生徒会の役員じゃないだろう、慶次君」

半兵衛が呆れ顔で言う。
何故か生徒会役員ではない慶次も混ざってインタビューは再開された。

「じゃあ次は竹中の旦那、よろしく」

「ああ」

ペンを握った佐助が笑顔で促すと、半兵衛は気が進まない様子ながらも頷いた。



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