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練習試合当日はやはり雨となった。

土砂降りというほどではないが、さすがに外で試合となると難しい雨量だ。
幸い、この聖ルドルフには屋外のテニスコートの他にトレーニング施設に併設された全天候型のコートがあるため、試合自体に差し支えはない。
ただ、外コートよりも面数が少ないので順番に使用する必要があった。

「オーダー表を元に、コートの使用順を決めて対戦表を作っておきました」

湿気のせいでいつもより癖が強い自身の髪をくるくると指に絡めながら観月が言った。

「細かい調整は向こうと相談して決めればいいでしょう。まあ、文句は出ないと思いますが」

「ああ、お前に任せる」

マネージャーであり選手であり監督も兼任する観月は、ルドルフの司令塔と呼べる存在だ。
部長を務める赤澤は観月の判断に全面的な信頼を寄せていて、こうしたオーダーなどの取り決めにおいても観月の判断に任せることが多い。

「はじめちゃん、タオルとボールの準備出来たよ」

観月達とお揃いのジャージを着た七海が駆け寄ってくる。
その姿を見て観月の瞳が和らいだ。

「そうですか。ドリンクは?」

「ジョグと粉を用意してすぐに作れるようにしてある。予備のドリンクボトルも出しておいたから、立海の人が来たらすぐに作りはじめるね」

「お願いします。頼りにしていますよ」

張り付けた愛想笑いではない柔らかい微笑みを浮かべて、観月が七海の髪を優しく撫でる。

「うん、任せて!はじめちゃんも試合頑張ってね」

「勿論です。キミに無様な姿は見せられませんからね」

「お、来たぞ、立海」

赤澤の言葉に門のほうを向けば、確かにこちらに歩いてくる芥子色のジャージの一団が見えた。

「では、迎えがてら挨拶に行きますか。キミは皆を集めておいて下さい」

「はい!」

立海テニス部を迎えに行く赤澤と観月を背に、七海は部員達に対戦校の到着を伝えるために走っていった。


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