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和太鼓が打ち鳴らされ、大河ドラマのテーマ曲にありそうな勇壮なBGMが流れる中、続々と各校の選手が入場してくる。
まさしく合戦に赴く武人達といった趣きで、場内は最高に盛り上がっていた。
大河ドラマと言えば、以前お正月特番として放送された『二人の軍師』はとても良かった。
はじめちゃんは黒田官兵衛派だけど私は断然竹中半兵衛派だ。

「おチビー!頑張れにゃー!!」

「頼むぞ越前!」

青学の騎手はリョーマくんだった。
騎馬の先頭に河村くんを配置することで安定感を持たせ、後ろ二人を桃城くんと海堂くんにすることで機動力も確保したバランスの良い騎馬となっている。

「おい、見ろよ」

「さすが立海だな」

「ここで幸村と真田か…」

立海は、騎馬の先頭が真田くん。後方を仁王くんと桑原くん。
その上に威風堂々たる様子で乗っているのが幸村くんだ。
コートに立つ時と同じ顔つきをしている。
滲み出る絶対の気迫と余裕。これだけでも相手に相当なプレッシャーを与えるはずだ。

皆が息を飲んで見守る中、開始を知らせる笛が鳴った。

「動くこと雷霆の如し!!」

雷鳴の如く轟いた叫び声。
一瞬、プールの中に黒い稲光が走ったように見えた。
さっきまでいた場所には幸村くん達の騎馬は居らず、いつの間にか相手の背後に現れていた幸村くんの手には、既に敵から奪った鉢巻きが幾つか握られている。

「『雷』だ!」

誰かが叫んだ。
そう、開始早々真田くんは『雷』を使って高速移動し、すかさず幸村くんが敵の鉢巻きを奪ったのだ。
もはやチートとかいうレベルじゃない。

「マジかよ…」

「プールでも使えるとか反則だろ」

「さっすが副部長!部長もその調子でやっちまって下さい!!」

ヒャッハー!な感じではしゃぐ切原くんの横で、私は微妙な申し訳なさを感じていた。
その間にも我が立海は次々と敵チームの鉢巻きを奪っていく。

最後に青学のリョーマくんを破った幸村くんが、奪い取った鉢巻きを片手に、プールに落ちて悔しがるリョーマくんを見下ろし、「まだまだだね、ボウヤ」と笑って騎馬戦は終了した。


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