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我が立海の場合は、幸村くんの「面白そうじゃないか。なァ、真田」の一言で水泳大会への参加が決定した。
部長の発言は絶対なのだ。


「真田くん、普通の水着だね。ふんどしで来たらどうしようかと思った」

「まさか。いくらなんでもそれはないよ」

シンプルなハーフ丈の海パンを穿いて仁王立ちしている真田くんを遠目に見ながらこっそり呟くと、私の隣にいた幸村くんが思わずといった風に吹き出した。
その幸村くんも当然ながら水着姿である。
下は海パンだけど、まだ当分競技の順番が回って来ないので、今は上半身に白いシャツを羽織っている。
しかし、そんな薄い布一枚きりでは美術品のように均整がとれた美しい肉体を隠しきれていない。

逞しい胸板だとか、綺麗に付いている腹筋だとか。
どちらかと言えば中性的な綺麗な顔立ちと意外に男らしい肉体との絶妙なギャップが、なんとも言えない色気をかもしだしていた。
逆に真っ裸より色っぽくて目のやり場に困るかもしれない。

「惚れ直した?」

思わず見惚れていると、幸村くんがいたずらっぽく笑って言った。

「お気に召したなら触ってもいいよ。ほら」

急に私の手を取って、ぺた、と自分の胸板に押し当てるものだから声にならない悲鳴をあげてしまった。
慌てて飛びのこうとするが、逆に腕を引かれてぎゅむっと抱きしめられる。
温かくて適度な硬さと弾力を持つ筋肉が、肌が、密着して……

「ふぎゃああああああ!?」

「ふふ、恥ずかしがらなくてもいいのに」

「な、なんだ、どうした?」

「精市が七瀬にちょっかいをだして遊んでいる確率120%」

「またかよ…幸村くんも好きだよなー」

水着に着替え終えたレギュラーメンバーがぞろぞろと歩いてくる。

「幸村、俺もやりたいナリ」

「ダメ。これは俺のだから他を当たってくれ」

「そこのバカップル、イチャついてんじゃねーよ」

「羨ましいのかい?跡部」

「馬鹿言ってんじゃねえ。とっとと離れろ」

跡部くんに呆れたような声で注意されてしまった。
楽しそうに笑いながら幸村くんがようやく解放してくれる。
楽しそうなのは何よりだ。

「い、いかんぞ、幸村っ!高校生らしく、清く正しい交際をだな、」

「煩いよ真田」

今までフリーズしていた真田くんが叫びだしたのを、幸村くんは一言で黙らせた。
いつも思うのだが、真田くんは何か弱味でも握られているのかと疑いたくなるほど幸村くんに弱い。


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