「真奈チャンも食べる?マシマロ」

マシュマロの袋の封を切った白蘭が弾んだ声をかけてくる。
彼は甘い物を好んで食す傾向があり、マシュマロもお気に入りの一つだった。

ガランとした広い部屋の窓辺には、シンプルだが上質な素材で作られた応接セットが置かれており、白蘭が座っているのは革張りのソファだ。
その横には、ペット用の物を巨大にしたような白くてふかふかした丸いクッションベッドがあり、その中央には両腕を後ろ手に拘束された少女が転がされていた。

「そんな目で見ないでよ真奈チャン。しょうがないじゃない。僕だってこんな酷いことしたくないけど、舌噛んで死なれても困るからさぁ。念のためってことで一応、ね?」

白蘭をキッと涙目で睨みつける真奈の口は、自害防止の為に小さめのボールギャグを噛まされ、その上から黒い革製のベルトが巻かれている。
そうした犯人は、まったく悪びれた様子もなくにこやかに笑って立ち上がった。

「そんなにソレが嫌なら、ほら、取ってあげる。だから機嫌直してよ真奈チャン」

警戒の色を強めて身を固くする真奈の側に男が屈み込む。
彼が優しげな手つきでベルトを外し、ボールギャグを取り去ると、真奈は大きく息をついた。
その可憐な唇を濡らす唾液を、男の長い指が拭う。

「いい子」

白蘭はにっこり笑ってマシュマロを一つ彼女の口の中に押し込んだ。



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