町外れから出発したバスは、約一時間後に目的地に到着した。
その間、アラームは鳴ったり鳴らなかったり。
最初こそインパクトが強かったから上手くいったものの、車内にいるのは猛者ばかりなのだから当然と言えば当然である。

「ヒバリも、骸がお前にやられてる時に鳴っただけで後は鳴らなかったな」

「逆にあれで動揺したら、どうしたんだろう恭弥さんって心配になると思う」

「それもそうだな」

とりあえずの役目を終えて一息ついた真奈の言葉に、リボーンはあっさり頷いてみせた。
たかがナースのコスプレ如きで雲雀恭弥を本気で動揺させられるはずもない。
これも想定の範囲内の結果だ。

「あれ?恭弥さん?」

バスから降りて正面玄関に向かっていた参加者達から離れ、雲雀がこちらにやってくるのが見えた。

「どうした、ヒバリ」

「さっきのアレは君の差し金だろ?赤ん坊」

「ああ、そうだぞ」

「ふうん…やっぱりね」

そうだと思ったよ、と雲雀が笑う。
今回のゲームが始まる前もバスの中でも無表情に近い顔でいた彼が、今は楽しそうに笑っていた。
未だナース服を着たままの真奈に目をやり、上から下までじっと見つめてから、

「よく似合ってるよ。可愛い」

「えっ」

思わず言葉を失って固まった真奈をその場に残して、雲雀は妙に満足そうな様子で他の参加者が向かったほうへ歩いていった。

「顔が真っ赤だぞ、真奈。お前がアラーム鳴りそうになってどうすんだ」

「だ、だって…」



 戻る 

- ナノ -