初代ボンゴレの血を引く沢田家長女の真奈と、9代目の息子にしてヴァリアーの首領・ザンザスの間に生まれたのは、それはそれは可愛らしい女の子だった。

くりくりした大きな目は紅、髪は黒炭のような漆黒。
髪と瞳の色さえ除けば、赤ん坊は母親に瓜二つだ。


「母親そっくりだからって手を出しやがったら殺すぞ」

「僕が?マフィアの娘に?」

骸は小馬鹿にしたように笑った。

「冗談じゃない、マフィアは僕の敵です。君も精々気をつけることですね」

「上等だ」

殺伐とした会話を交わしながら、ザンザスと骸は部屋に入っていく。
そこには赤子を抱いた若い母親が、相変わらず少女めいた愛らしい顔に笑顔を浮かべて待っていた。

「いらっしゃい、骸。来てくれて有難う」

「良いのですよ。いずれにしても君の様子を見に来ようと思っていたところでしたから。どうです、調子は」

「大丈夫。先生も産後の経過は順調だって」

「それは良かった。お嬢さんを拝見しても?」

「うん、勿論」

妻が子供を差し出すのを、ザンザスは不機嫌そうに見守った。
少しでも妙な真似をしたら直ぐに妻子を守れるよう警戒して。
母親そっくりで順応力のある子供は、突然現れた見知らぬ大人を目の前にしても、怯えることはなかった。
大きな瞳で骸を見上げ、にこにこと機嫌よく笑いかける。

整った容貌に蕩けそうな甘い微笑を湛えた骸は、甘い声音で赤子に優しく語りかけた。

「初めまして。僕は君の将来の伴侶となる男で、六道骸といいます」

「ふざけんな!かっ消されてぇのか、このド畜生がッッ!!!!」


ある意味予想通りの展開だった。



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