「ご懐妊ですって!おめでたよ!」

ルッスーリアが告げると、固唾を飲んで知らせを待っていた隊員達から「うおおおぉぉーっ!!」という野太い歓声が沸き起こった。
中には感極まって男泣きに泣き出す者までいる。

「そう…真奈ちゃんもとうとうママになるのね……こういうのを母性本能をくすぐられるっていうのかしら、なんだかアタシまで胸がキュンってなっちゃったわ」

「お前は男だろうがぁ!」

「心は乙女よ!」

スクアーロのツッコミを一刀のもとに斬り捨てたルッスーリアは、歓喜している男衆に向かって早速指示を飛ばしはじめた。


一方その頃。
この度めでたく子供を授かった真奈は、下腹部を守るようにしてしっかりとブランケットでくるまれて、夫のザンザスとともに病院から帰宅するところだった。

病院には体調不良で診察に行ったのだが、それで妊娠が判明したのである。
実は、少し前から、もしかすると赤ちゃんが出来たかも…という気はしていたのだ。
それは超直感というよりも、『母』となった女の勘みたいなものかもしれない。

気になる体調のほうは、医師からも妊娠初期によくある体調不良であり特に問題はないとの診断が下されていた。

そうして城に着き、中に入った真奈は目を丸くして驚いた。
階段や家具の角という角すべてにセーフティカバーが貼られ、階段の手摺には移動用の電動式チェアが設置されていたのだ。

「ザンザス、これ…」

「安定期に入るまでは転倒や物にぶつかるのが危ねぇと聞いた。本当は城内全てバリアフリーにするべきだろうが、時間がなかったんでな。それでも万が一何かあった時には、ボタンを押せば10分以内にボンゴレの医療チームが駆けつけることになっている」

ザンザスは壁のボタンを指して言った。

「乳母と新しく雇い入れるメイドのリストも作らせた。俺が決める前にお前も目を通しておいてくれ。希望があれば聞いてやる」

「う、乳母…!?」

「飛行機に乗せるのは心配だから里帰りは諦めろ。不安ならお前の母親をここに呼んでやる。ところで、子供の玩具やなんかはいつ頃用意するものなんだ?もう買っていいのか?」

「お、玩具…!?」


意外に良いパパになりそうだった。


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