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「兄さま…?」

「クリスマス休暇が終われば、君はホグワーツに戻ってしまう。卒業した私には、手の届かない場所に」

確かに、ルシウスが卒業してからは共にいる時間が減ってしまった。
同じ城、同じ寮にいた時には当たり前のように感じていた存在がいないというのは、とても不思議な感覚だった。
何かと気遣ってくれるセブルスがいなかったら、きっと寂しさに耐えられなかったかもしれない。
同じようにルシウスも寂しく思っていたのだろうか?
くすぐったいような気持ちになりがら、じっとルシウスを見つめる。

「君の身も心も私のモノであるとはわかっていても、側にいて触れられないのは想像以上に苦痛だった。君の温もりを思って眠れない夜もあったほどだ。…この、ルシウス・マルフォイともあろうものが。おかしいだろう?」

クロリスは首を振るのがやっとだった。
絹糸のようなプラチナブロンドを掻き分けるようにして、ルシウスの首に腕を回して縋りつく。

「私も…寂しかった…」

「…クロリス…」

そこまで想われていたなんて嬉しい。
震える声で自分もそうだったと伝えると、力強い腕にきつく抱き締められた。

「今夜は私だけを見つめていて欲しい。ホグワーツへ戻って、その眼に誰が映ったとしても、私を思い出せるように」

「うん…」

重ねた唇が甘い。
クリームの味のする舌を絡め取ると、ルシウスは自らの存在を刻みつける為に、クロリスの服に手をかけた。





「……何だ、それは」

「兄さまに貰ったクリスマスプレゼントよ」

クリスマス休暇が明けて戻って来た同級生に、セブルスは怪訝そうな視線を向けた。
少女の華奢な首から下がる一枚のカード。
スリザリンカラーのそれが裏返ると、見覚えのある端正な顔が睨みつけてきた。

『近すぎるぞ、離れろ!』

写真のルシウスの唇がパクパクと叱責するように動く。

「…クリスマスプレゼント…?」

呪いの品の間違いじゃないか。
嫌な汗が吹き出てくるのを感じるセブルスをよそに、クロリスはとても幸せそうに笑っていた。


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