ちらりと時計に目をやり、まだもう一度愛しあえるくらいの時間があるのを確認して、リドルはなまえの身体を抱き締め返してやりながら、雪の上に押し倒した。 スノードロップを異性に渡すのは、その相手の死を望む時。 彼女が自分から離れたいと願う事など決してないと、自惚れとも言える確信を持ちながらも、愛するなまえに望まれるならば、それでも構わないと思った。 自分の死を決めるのは、彼女次第だ。 そう考えて、リドルは苦笑を浮かべた。 「それでは、僕は永遠に生き続けなければいけなくなるかもしれないな…」 「…ぇ…?」 再開された愛撫にうっとりと潤んだ瞳が見上げてくる。 「何でもない」と呟いて、リドルは本格的に恋人に溺れる為に、熱を分けあって熱く感じる体を密着させた。 なまえの耳元で愛おしげに溜め息をつく。 【スノードロップ】 ユリ科ガランサス属 耐寒性多年草 『マリアの花』、『2月の美しい少女』などの呼び名を持つ、白く可憐なその花の花言葉は、 『希望』 『慰め』 『愛の眼差し』 そして── 『初恋の溜め息』 |