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魔法で編んだセーターを見て、綺麗な薄い唇が皮肉げに歪む。

「下手くそ」

「だ、だって、習いたての魔法だったし、時間もなかったし、仕方ないでしょ!」

「好きな男の誕生日に贈る物だろう?練習もしなかったのか?信じられないな」

確かに、広げたセーターは、ところどころ編み目がつんだりしていて良い出来ではないが、取り付く島もない答えだ。
コトが終わって愛を確かめあった男女が裸のままする会話じゃないと思う。

「とてもじゃないが、こんな物は着られない。やり直せ」

「えっ!? 今から!?」

「今から。これをほどいてやり直せばいいだろう。この冬中には着られる物を作って欲しいからな」

酷い。酷すぎる。
なまえは悔し涙を堪えながらも杖を振って、セーターに魔法をかけ直した。
同時に編み棒にも魔法をかけて、するすると毛糸がほどけていく端からまた編み始めていくようにする。
時々宙に浮いた編み棒が間違った動きをしたり、ぎこちない動きになると、隣りの恋人から容赦のない叱責が飛んだ。

「だが、まあ、趣味は悪くない」

愛される事を知って、甘く、匂いたつような色香を放つようになった少女の肢体を眺めながら、リドルはひっそりと笑った。


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