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公園で仲良くなった老婦人は、富裕層でありながらも鼻にかけたところなど全然ない、人柄の良さが外見にも表情にも滲み出たとても感じの良い女性だった。
どことなく雰囲気が奈々に似ている気もする。
勿論なまえは直ぐに彼女のことが好きになった。

その人がまさかリボーンの知り合いだったなんて、いったい誰が想像出来ただろう。
世の中には凄い偶然があるんだなとなまえはしみじみと思った。

「久しぶりだな」

「本当、もう何十年ぶりかしら…すっかりしわくちゃのおばあちゃんになっちゃって恥ずかしいわ」

少女めいたあどけない表情で、老婦人が、うふふと微笑む。

「貴方は何だか若返ったみたい」

「まあな」

赤ん坊は苦笑して肩を竦めた。

そもそも赤ん坊の姿のリボーンを見て昔愛人だった男だと一目で解ったくらいだ。
今でも充分チャーミングだが、若い頃もただ可愛いだけの女性ではなかったのだろう。
さすがリボーンの元愛人である。

老婦人はなまえへと柔らかい眼差しを移した。

「なまえさんとはここでお話して仲良くなったのよ。とても可愛らしいお嬢さんね。貴方の恋人?」

「なまえはそんなんじゃねえぞ。俺の娘みたいなもんだ」

なまえはリボーンにとって大事な娘のような存在だった。
スパルタで育てた愛弟子とは違い、優しく育ててきたつもりだ。

もはやノロケと言っても良い、リボーンの“娘自慢”を聞かされたコロネロが、

「それを言うなら“孫娘”じゃねーのか、コラ」

などと憎まれ口を叩いたものだから、キレたリボーンの愛銃が火を吹き、コロネロもそれに応戦して、ちょっとした銃撃戦になった事はまだ記憶に新しい。

老婦人は「あらあら」と口元に手をあてておかしそうにころころと笑った。

「貴方が父親代わりを務めるようになるなんて……私もおばあちゃんになるはずね」

そうして昔を懐かしむように淡く微笑んだ彼女に、リボーンはどうしても確認しておきたかった事を尋ねる。

「今、幸せか?」

「ええ」

一瞬の躊躇もなく答えは返ってきた。

「夫はもう何年も前に先にいってしまったけれど、私には勿体無いくらい優しい人だったわ」

リボーンはその答えで納得したようだった。
歳を重ねてなおも若々しく魅力的であることが、彼女が女性として幸せな人生を歩んできた証拠である。

「最後にもう一度貴方に会えて良かった」と微笑む彼女を、なまえは複雑な思いで眺めていた。
なまえは、彼女の言葉にほんの少しだけ嘘が混ざっているのではないかと感じていたのだ。

確かに自分を愛してくれる優しい男性と結婚して幸せだったのかもしれない。
だが、一目で今のリボーンを見て彼だと気がついたくらいなのだから、彼女の心の中には黒衣のヒットマンがずっと住み続けていたのではないだろうか。



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