初めからもっと警戒すべきだったのだ。 何しろジャンニーニには以前沢田家に訪れた時にトラブルを起こした前科があるのだから。 ──しかし、今回真に警戒すべき人物は別に存在したのである。 「これは10年バズーカを研究して私が開発したタイムマシンです」 誇らしげに胸を張ってそう告げたのは、ボンゴレファミリー専属武器チューナーのジャンニーニだ。 彼の父親は、チューニングした武器が目を覚ますと言われる程の素晴らしい腕の持ち主だが、その父親に比べると、ジャンニーニの腕前は少し──いや、かなり怪しいものがある。 「まだテストもしていないプロトタイプですが、これを使えば、10年後どころか、どの時代のどんな場所にも自由自在に──な、何ですか、その疑わしげな目は!」 なまえと綱吉とリボーンが揃って疑いの目で見つめている事に気が付いたジャンニーニは、必死になって言いつのった。 「これは凄い発明なんですよ! 成功すれば10年バズーカなんて玩具にしか見えなくなるぐらいの発明なんですから!」 「成功すればな」 リボーンが冷淡に突っ込む。 「お前、前に家に来た時に俺の銃を改悪してシメられたのを忘れたのか?」 「も、勿論覚えていますよ。ですが、今度こそ大丈夫です!」 綱吉となまえは不安そうに視線を交わした。 今のジャンニーニの技術力がどれほどものかはわからない。 わからないが、以前沢田家を訪れた際には、修理どころか滅茶苦茶な改造を施されていたのである。 リボーンも自慢の愛銃を台無しにされてかなり怒っていた。 警戒するなというほうが無理な話だ。 「仕方ねえな……おい、ジャンニーニ、ちょっと貸してみろ」 「…は?」 何やら黒い笑顔を浮かべたリボーンが、ジャンニーニにタイムマシンを渡すよう催促するのを見て、綱吉はギョッとした。 「お、おい、リボーン…!」 「ピストル型か。ちょうどいい、俺が試し撃ちしてやる」 あろうことか、ヒットマンは綱吉に向かって銃口を向けた。 綱吉の顔から音をたてて血の気が引いていく。 「いやいやいやいや待てよリボーン! それはマズイって!! 洒落になんないから!」 「安心しろ。俺は絶対に的を外さねえ」 「そういう問題じゃねえぇぇぇえーー!!!」 綱吉の絶叫と銃声が重なる。 「──て、…あ、れ…?」 痛くも痒くもない。 何も異常がないことに安堵しかけた綱吉だったが、しかし、はっと自分の横に目を向けた。隣にいたはずのなまえが消えてしまっている。 「…お、お、お前、もしかして……」 「チッ、壊れやがった」 リボーンの手からバラバラになった拳銃がこぼれ落ちる。 既に蒼白だった綱吉の顔から、今度こそ完全に血の気が失せた。 |