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※年上夢主


いつでもどんな時でも僕様な雲雀恭弥だが、意外と礼儀に厳しい。
そういうところはやはり良家のお坊っちゃまなんだなと妙な感心をしてしまうほどだ。

今年の正月、真奈は年賀状を出すのではなく、直接雲雀の実家である屋敷へ年始の挨拶に赴いた。
粗相があってはいけないと、事前にマナーブックなどで何度も確認してから行ったのだが、それでもガチガチに緊張しながらの挨拶となった。
対する雲雀は落ち着いたもので、いつもと変わらぬ態度で鷹揚に頷いて真奈の挨拶に応えた。
違うのは、彼も真奈と同じく和服を着ているという点だ。

年貢ならぬお年賀の品を渡したところで、雲雀は「出掛けるよ」と言って立ち上がった。



「ここって……料亭?」

黒塗りの高級車で送られた先は、並盛の町から少し外れた山に近い場所にある純和風の建物だった。
周りを自然に囲まれたそこは、いわゆる隠れ家宿を兼ねた高級料亭であるらしい。

「心配しなくていい。味は確かだよ。ここには僕もよく来るんだ」

「恭弥くんのお気に入りのお店?」

「うん」

迎えた店の者も雲雀をよく知っているようで、慣れた様子で案内に立った。
まだ十代の少年に対するものにしては些か丁重過ぎる扱いだが、それは相手が雲雀恭弥だからというだけで納得がいく。

(成人の私より堂々としていて、来慣れているってどうなんだろう…)

とっくに成人している年上の真奈のほうがおどおどしてしまいそうな雰囲気だというのに。
教師の安月給では、たまにお洒落なカフェで一人でまったりランチを楽しんだり、大学時代の友達と飲み放題コースのある居酒屋やビヤガーデンに飲みに行ったりするのが精々である。



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