ここに来る前に恵くんから「くれぐれも五条さんには気を付けて下さい」と釘を刺されていた。少し心配しすぎな気もしないではないが、弟のように可愛がっている恵くんからのお願いだったので、自分なりに気を付けてはいたのだ。 でも、気がつくと、五条さんがすぐ隣に座っていて、ご機嫌な様子で話しかけられていた。 「最近、恵とどう?」 「仲良くしてくれていますよ」 「ふーん。まあ、その様子だとまだ付け入る隙はありそうだね」 「え?」 「何でもないよ。ほら、これ飲みな。アルコール入ってないから大丈夫だよ」 五条さんが私の前に置いたのはトロピカルジュースだった。いかにも南国のフルーツをたっぷり使っていますといった感じの見た目で、確かに美味しそうだ。 飲む 飲まない |