そうして眠りの中で見た夢は、何処までも赤く染まっていく海


無人の船内

何かに追われているのか
何かを探しているのか

わからないままに、一人通路を走る

白い壁も緑の床も、全てが赤く染まっていた

そうして気付くのだ

船内がおびただしい量の鮮血で、血塗れになっていることに──


「!!!」


なまえは文字通り飛び起きた。

酷い悪夢を見たせいで、全身がじっとりと汗で濡れている。
額の汗を手で拭った時、なまえはふとある事に気が付いて室内を見回した。


「赤屍さん…?」


眠りにつく前まで一緒にいたはずの赤屍の姿が見えない。

いったい何処へ……と視線を巡らせる。
すると、ベッドサイドのテーブルに置かれたメモ帳が目に入った。
一番上の紙に、何か書かれているのが見える。

なまえは恐ろしく怠い感じのする身体を何とか起こしてメモに手を伸ばした。
頭がふらふらする。


『直ぐに戻ります。何があっても、決して一人で部屋を出ないように』


メモにはそう書かれていた。

どことなく不吉なものを感じさせるそのメッセージに、なまえは両手で自らの身体を抱き締めるようにして身震いした。

何かが起こっている。

そんな気がしてならなかった。


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