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予想していた通り、スクアーロの態度は冷ややかなものだった。

それは仕方がない。
彼ら暗殺部隊ヴァリアーと綱吉達は、ボンゴレリングと10代目の座を巡って死闘を繰り広げたばかりなのだから。

見舞いに訪れた真奈に対し、スクアーロは敵意というよりも不信感を抱いたようだった。
氷に似た色の双眸が「何をしにきたんだ」とばかりに睨みつけてくる。

「お前、俺達が改心するとでも思ってるのかぁ?」

「かいしん、って心を改めるっていうことですよね?」

真奈は全身に包帯を巻かれた男の問いかけに対し、少しも悩むことなく否定した。

「改心してボンゴレに従うっていう意味だとしたら、そういう風に考えてるわけじゃありません」

スクアーロがますます不審そうに顔をしかめる。

「…わからねぇな。それならわざわざ何を期待してここに来た」

「私、あまり頭がよくないから上手く説明出来ないんですけど……とにかく、みんなで仲良くとかは絶対無理だっていうのだけは分かります」

「当然だぁ」

「でも、いつか同じ目的のために協力し合える関係になれたら……いつか同じ方向に向かって一緒に進んでいけたらいいなって、ボンゴレファミリーとしてみんながそれぞれ自分のやり方で大切なものを守っていけたらいいなって、そう思ったんです」

そのために、両者の間にあるわだかまりを少しでも解きほぐす事が出来ないかと考えたのだ。
戦闘能力もなく、友人や仲間が傷つきながら戦うのをただ見守ることしか出来なかった真奈が、自分に出来る事はないだろうかと必死に考えた結果だった。

「…本気で言ってやがるのかぁ?」

真奈は素直にうんと頷いた。

スクアーロは窓へと目を向けたまま長い間沈黙していたが、やがて静かに口を開いた。

「……ザンザス次第だ。俺は奴に従うと決めてここまでついてきた。それは今後も変わらねぇ」

つまりそれは、ザンザスが頑なな態度を貫いて処刑されることになったとしても、スクアーロは最後までザンザスに従い続けるということなのだろう。
彼が剣を捧げるのはボンゴレファミリーではなく、あくまでもザンザスという一人の男なのだ。
そのために自らの腕を失ってまで剣帝を倒し、覚悟を示した。

スクアーロのその覚悟が剣士として当然のものであるのか、真奈にはわからない。
一般的に見て間違っているのか正しいのかも分からない。
ただ、凄いなと感じた。

誰かのために生きるということ。

簡単ではないはずのそれを貫こうとしているスクアーロが、純粋に凄いと思えた。



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