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数メートルもあるダイニング・テーブルの上には燭台が並び、天井からは精巧な細工が施されたシャンデリアが下がっている。

このヴァリアーのアジトの主であるザンザスは椅子に深く腰を埋め、テーブルの上に尊大な態度で足を乗せていた。

壁際には使用人が二人。
凶暴な主人の機嫌を損ねないよう、細心の注意を払いつつ静かに佇んでいる。
その近くにはスクアーロもいた。

そこへ扉を開いてワゴンを押したルッスーリアが入ってくる。
ワゴンからテーブルの上へ移された料理を一瞥したザンザスの眉がぴくりと動いた。

「…なんのマネだ」

「何か問題でも?それなら、」

「とぼけんな、カス。下手な芝居打ちやがって」

「あら……さすがボスね。もうバレちゃった」

ウフッと悪戯っぽく笑ったルッスーリアが扉のほうを振り返る。
すると、再びそれが開き、一人の少女がおずおずと入ってきた。

「どうして分かったの?」

不思議そうに尋ねてくる少女に答えようと口を開いたザンザスは、珍しいことに一瞬言葉に詰まった。

彼女がメイド服を着ていたからである。

それも実用性に重きを置いた本職用のものではなく、明らかに趣味や鑑賞用として楽しまれるための、フリルがふんだんに使われたタイプのものだった。

てめえの仕業かとルッスーリアを睨むと、「いやん、怖いわ〜」と笑って身をくねらせる。
何かをぶつけて苛立ちを発散させてやろうかと考えたものの、むしろ喜ばれそうなので止めた。
居ないものとして無視するのが一番だ。

「来い」

「うん」

呼ばれて素直に近寄ってきた真奈の腰をグイと引きよせ、ザンザスは無抵抗の少女をさも当然のように膝の上に載せた。



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