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「どうされるのがイイか言ってみろ」

傲然と命じたザンザスの逞しい腕が、太ももをしっかり押さえ込んでいて逃げられない。
無駄の無い筋肉質な肉体を持つこの男には絶対に力では敵わないのだと思うと同時に、全身の力が急速に抜けていった。
組み敷かれたまま、言え、と目顔で促され、おずおずと口を開く。
頬が熱い。

「…ひざの…」

「膝の?」

「…膝の上に抱っこされてするのが、好き」


ザンザスと真奈はかなりの体格差がある。
ザンザスのその大きな身体に抱きくるまれる度、初めの内はおそるおそる抱き返していた。
そうしても良いのだ、むしろそうしろと促されてからは、ただもう夢中でしがみつき、縋るように抱きしめ返すのが常となった。
鋼のように引き締まった男の身体は逞しく、真奈の細い腕ではとてもまわりきらない。

「ザンザス……ザンザス…!」

苦しい呼吸の合間に名を呼べば、唇を重ねられて熱い舌が絡みついてくる。
身体の内も外も熱くて、熱くて。
今にもどうにかなってしまいそう。

全てが終わった後は、嵐に揉みくちゃにされたような気分になりながら逞しい胸板に頬を預け、胸の内側から響く力強い鼓動を男の肌から直に聞いていた。
その硬い腹筋と逞しい胸板の感触を確かめるように、己の手の平で幾度となく撫でた。


その翌朝。
リボーンに「昨日は楽しかったか」と笑われた真奈は大いに慌てた。

「ザンザスの匂いがするぞ」

「え、……匂い、する?」

「ああ。染み付いてるな」

何のことはない。
移り香でとっくにバレていたのだ。
と言っても、それは普通の人間ならば気づかないような、極々微かな香りであったのだが。
というか、そんなことがなくても見る者が見れば分かるというものである。
知らぬは本人ばかりなりとはよく言ったものだ。

それでも優しいヒットマンは、「安心しろ。ツナは気づいてねえからな」と慰めてくれた。



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