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目が覚めても、あまり状況に変化は無かった。

夏の最中(さなか)でありながら、空調で適温に保たれた室内は快適だ。
白いシーツにくるまれるようにして背後から抱きしめられているのを感じ、夢に出てきた繭の正体はこれか、と思わず笑みが零れる。

だが、繭の中というイメージはもうひとつあった。


──卵。


そっと自身の下腹部を撫でる。


「お早うございます、聖羅さん」


穏やかなテノールに振り返って、聖羅は微笑んだ。


「蔵人さん……女の子と男の子、どっちがいいですか?」


いたずらっぽく微笑む聖羅に、てっきり驚くと思った相手は、まるで何もかも知っていると言わんばかりの謎めいた微笑を浮かべて答えた。


「きっと、貴女に良く似た可愛い女の子が産まれますよ」


──と。


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