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聖羅は赤屍と共に、世界的に有名なネズミがいるテーマパークを訪れていた。
一泊二日の泊まりがけのプランで、宿泊はもちろん施設内にあるホテルだ。
初日はランド、二日目はシーと決めていたのだが、想像以上の混雑ぶりで、この様子ではノルマ達成は難しいかもしれない。

「うわあ…凄い人混み…迷子になりそうですね」

「大丈夫ですよ。私が貴女を見失うことなど絶対にありませんから」

赤屍が微笑んで言った。

「常に私は貴女の側にいます。安心して下さい」

「…そ…そうですか…」

この歳で迷子になるのはさすがに恥ずかしいので大変有り難い話ではあるのだが、やはり何かゾクゾクッとくるものがあって素直に喜べない。

とりあえず聖羅は無難に手を繋いで安全を確保する事にした。
赤屍の手は乾いていて大きく、ちょっとひんやりしている。
昨夜もこの手で撫で回され……いや、それはともかく、こんな陽気の日には繋いでいて気持ちがいい手だった。

アトラクションの列に並びながら、聖羅は周りの客達を観察した。
一番多いのは小さい子供を連れた家族連れで、次が若い子達のグループ、その次がカップルといった感じだ。
そういえば昔、初デートでここに来たカップルは別れるなんていうジンクスを聞いた事がある。
それはきっと、この人混みと長蛇の列のせいに違いない。
初デートでコレは難易度が高過ぎる。
かなりのコミュニケーションスキルと気遣いが要求されるシチュエーションだからだ。

とは言え、聖羅と赤屍は退屈になる事も険悪な雰囲気になる事もなく、楽しく過ごした。



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