仕事で物凄いミスをしてしまった。 それもかなり深刻な失敗を。 遅くまで残って残務処理に追われながら、明日が休みで良かったと思っていた。 思いきり落ち込めるからだ。 ただ、今回の件で職場に居づらくなってしまった。 これからどうしよう。 元々ブラック臭のする職場だし、転職するのもありかな、出来ればだけど。などと自暴自棄なことを考えながらとぼとぼと家路を辿る。 アパートの前まで来てふと俯いていた顔を上げると、一つだけドアが開いている部屋があった。 お隣の赤屍さんの部屋だ。 近づいていくと、中から赤屍さんが出てきて心配そうに声をかけられた。 「遅いから心配していたんです。大丈夫ですか?」 「だ、」 大丈夫です、の言葉が出て来なかった。 そのかわり、今日一日耐えていた涙がぼろぼろと溢れ出てきてしまい、慌てる。 どうしてしまったのだろう。泣くつもりなんてなかったのに。 「つらいことがあったのですね」 赤屍さんは優しく微笑んで私を引き寄せた。 赤屍さんの胸に顔を埋めるようにしてゆるく抱きしめられる。 抵抗すれば簡単に逃げ出すことの出来る拘束。 だけど、私は逃げなかった。 それどころか自分から赤屍さんに縋りつき、本格的に泣き始めた。 赤屍さんに誘導されて彼の部屋の中に導かれる。 背後でドアが閉まった。 「よしよし、もう大丈夫ですよ、聖羅さん」 |