午前の授業が終わるチャイムが鳴って、みんながいっせいに席を立った瞬間に私は机にめり込む勢いで落ち込んだ。
「今日の凛変アル」 「なに言ってるの神楽ちゃん元からよ」 「それ酷くないか?」
さらっと笑顔で言う志村さんは機嫌悪いの丸出しだった。 志村さんには悪いんだけど…私、志村さんと一緒にお弁当食べたくない…。恐いもん。
「それで凛はなんで落ち込んでるアルか?」 「エイプリルフールって午前中までに嘘つかないといけないんだって。午後に嘘つくとそれはただの嘘なんだってさ」
若干お弁当がしょっぱかったのは涙のせいじゃないはず。だって泣いてないし。なきそうだけど。 あ、だから近藤くんは朝っぱらから大嫌いだって叫んだんだ。ナルホド。バカだけど頭いい。
「じゃあ今から嘘ついたらいけないアルか!?」 「いやいいけど、それはただの嘘としてカウントされるんだよ」 「自分の罪が一つ増えるみたいなカンジかしら」 「そんなもんじゃない」
私は実感よく湧かないんだけど。罪とか嘘とか死ぬほど吐いてきたから別にいいんだけどさ。
「別にいいアル。嘘でも4月1日はエイプリルフールに変わりはないネ」 「なんかすごいいい事言った感があるんだけど、言ってることは嘘ついてもよくね?って言ってることだからね」
神楽ちゃんはうっきうきでもう体中が燃え上がる勢いで嘘を吐く準備万端だった。 目の下にくっきりと残っているクマはどんな嘘を吐こうかと考えてたら寝れなくなったものなんだと。
「そこまでしたんだ…」 「当たり前アル!一年一年の行事をしっかり受け止めないと!人生は一度きりアルゥウ!!」
ボゥッ!と神楽ちゃんが発火した。
「神楽ちゃんが燃えた」 「火事にならない程度にね」 「うぉぉぉおおお!!」
神楽ちゃんには私たちの声などまったく届いていなかった。 そこまで、やる必要はないんでは…?
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