時は過ぎ…放課後。
「あ゛−!やだやだ!家になんか行きたくないよぅ!!」 「うるさいアル。お前が振りまいた種が発芽しただけネ。我慢しろ。」 「言い返すことが出来ん…」
たしかに私が振りまいた種だけれども!私が悪いけども!なんでそういうとこだけ本気にするのかなァァァ! もーー!こいつらの扱いって難しいのね…。銀八先生の大変さが分かったよ…。
「水城が悪いんだから、甘いもんちゃんと出せよ。」 「……、」
その場が一瞬にして凍りついた。今まで私と一緒に歩いてたのは志村さんと神楽ちゃんと私と土方君と沖田君のはずでしょ!? なんで…なんで…
「なんで銀髪いる訳ぇぇぇぇぇえええ!?」 「俺がいちゃ悪いのかよおおおお!」 「悪い。めっちゃ悪い。」 「んだと、お前!今日は俺の誕生日だぞ。ケーキくらい出せやボケナス。」 「私ナス嫌いなんだ。」 「水城のくせに一丁前に好き嫌いとかしてんじゃねーよ。好き嫌いはいけません!ちゃんとなんでも食べなさい!」 「誰だよ、お前。私のお母さんにでもなったつもりか!」
まあいいか。どうせこいつ、甘いもん食べて帰るんだろ。だったら甘いもんくらいいくらでも出してやるよ。 誕生日なんだろ?ケーキ、家にあったっけ…?
「てか、遠くね?お前いっつもこんなところから通ってんのか?」 「うん、まあ。朝はバスがあるからね。」 「でも水城。この辺でっかい家しかねーぜ?本当にこの辺なんですかィ?」 「うん、この辺。えっとねー…もう見えるよ。あのオレンジ色の屋根の家。」
もう走っていけば三秒で着くような場所まで来ていてみんな早歩きになって行った。 だけど、なぜか私の家の前に立つとみんな固まって大口開けて突っ立ってるだけだった。
「ど、どうしたの…?」 「な、なにこの…」 「なにこのでかい家ーーーー!」 「なにって…私の家だけど…」 「ええーーーー!?なぜか、私ものすごくショックだわ…。もっと貧乏な家かと思っていたのに…」 「え?何その印象。そこまで私んちでかくねーしよぉ」 「んだとコラァ!お前んちがでかくなかったら私の家どーなるネ!馬鹿にしてるアルか!?見下してるアルか!?あぁん!?」 「ちょっと落ち着いて下さいよ、みなさん。」
「うるせェよ、なにしてんだよ。」 「あ、空。」 「…姉ちゃん?おかえり。」 「ただいまーーー」
私の弟を見た瞬間。みんなは金槌に打たれたみたいに固まって変な衝撃を受けていた。
「か、かっこいいアル…」 「これが水城の弟…?」 「信じられねェ…」 「まあ、上が駄目だと下がよくなるって言うしなぁ」 「それにしても変わりすぎでしょ、これは!」 「お前ら私のこと傷つけすぎだァ!!」
「続きます。」 「ええ!?アンタが言うのぉ!?」
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