いや、タルトがいい。




チャイムが鳴って、教師が出て行ったのを確認してから私はダッシュで教室の中へ入る。

「ちょおおお!私の携帯鳴ってた!?鳴ってたよね!?高杉、へいっ!」
「……、」

高杉は私の携帯をポイッと投げ捨てて、教室を出て行ってしまった。志村さんたちもなぜか私を不審な目で見る。
な、なに…っ!私、なにか変なことしましたかァァァ!?てか、高杉なんだよ!拗ねてんのか?

「うぉい!皆様なにかしましたかァァァ!?私はなにか悪いことしましたァァァ!?」
「凛ちゃん…貴方…」
「ええーーー!?やっぱりなにかした!?私そんな覚えはなにも…」
「このメールはどういうことだ、凛。」
「あいっ?」

土方君が私に差し出してきたのは私の携帯で、私の携帯にはよく見えないがメールが開いていた。
私は土方君から携帯を無理くり奪って携帯の中身を確認した。
人様の携帯の中身を勝手に見るなんて…デリカシーない奴…!

「…このメールがどうかしたの?」
「いや、だから。そのメールの差出人、お前とどういう関係だって聞いてんでさァ」



from:空
Sub:無題
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今日の夕飯、オムライスがいい。


「凛ちゃん、私たちに内緒で同棲?どこまで進んでんのよ、馬鹿のくせに。」
「あれ?今幻聴かな?うん、幻聴じゃないよね、ねっ?」

でもあれ?なにが同棲…?私、同棲なんか全然してないよっ!?

「同棲…ってなんのこと!?皆さん、なにか勘違いしてらっしゃらない…?」
「え?だってこの空って…男でしょ?」
「うん、男だよ。正真正銘の男。え、何?高杉はまさかこれを見て、拗ねてらっしゃったの?」
「当たり前アル!ってゆーかいい加減吐けヨ。誰アルか、こいつ。」
「誰って……」

みんなが私のことを凝視する。だけど、ごめんみんな。期待通りの答えが返せない…!

「弟です…。」
「え…」
「マジアルかァァァァ!」
「嘘だろそれええええ!証拠はあんのかよ!」
「ないけど…。なんなら家来るか!?ああっ!?」
「じゃあ行きまさァ。」
「ええっ!?マジでっ!?ちょっと冗談で言ったんだけど…」
「じゃあ今日、凛ちゃんちに行きましょう。」

ま、マジでかァァァァァ!
本当にあの…冗談で言っただけなんですけどぅ!?
なんでみんな本気になってんの!?マジになってんの!?

「え…本当、冗談なんだけど…え?何?マジ?え?」
「今日は凛んちでパーティアル!」
「パーティ!?そんな急に……」
「いいから行くわよ」

ブラック志村さん。怖いよー怖いよー…
あんなふうに言われたら断れないよね。選択肢は『はいと言う』か『殺される』だよ。どうする凛。

「はい…」

やっぱり死にたくないもんね。