HRが終わったあと、私は銀八先生に言われたとおり職員室に来た。だけど…
「あれ?銀八先生いないじゃん!」
どこをどう見渡しても銀八先生らしき死んだ目の人はいない。それに、あの変な白衣も全然見当たらない…。 どこ行きやがったアイツゥゥゥ!!
「銀八先生どこにいるか知りませんか?」 「あーあの人なら国語準備室にいるんじゃないかな?ジャンプとか読んでたりしたら叱っといてね。」 「は、はぁ…」
私にそんなことが出来るとでもお思いでェェェ!?できねーよ!私にあの人を叱ることなんて出来ない!なんかなんにでも適当に「あー分かったよーもう」とか言って全然やめなさそうじゃん!?私みたいのが何百回言ったところで聞かないよ、絶対!
「失礼しましたー」
職員室を出て国語準備室へ向かう。国語準備室なんてどこにあるか分からない私は先生に丁寧に教えてもらってその言葉通りの道を向かうことにした。 教えてもらうのとかマジで恥ずかしかった。めっちゃ恥ずかしかった。なんで私こんなことしてるんだって思ったよ。 先生に教えてもらった道を進んでいくけど、通る廊下は全部はじめて通るところで。旧校舎と新校舎の渡り廊下とかも全然渡ったことがないのに…。こんな怖いところを一人で通れなんて、みんな苦労してるんだなぁ…。
「銀八せんせー?いる?入るよー」
ようやく国語準備室に到着した私は、ノックもせずに普通に入っていった。
「バッ…おめェ入って来るときはノックくらいしろ!びっくりするだろーが!」 「ジャンプを学校で読まないで下さい。って他の先生が。あと、用事って何?」 「え、あ…ちょぉぉぉ!俺の大切ないちご牛乳を飲みながら言わないで!ジャンプ読まないからァァァ!」
置いてあった未開封のいちご牛乳を勝手に開けて飲もうとすると先生がめっちゃ怒っていた。 …これ先生の大事なもんなんだ。超好きなんだ。…弱点みーっけ。
「分かったよ。飲まないから。で?用事ってなにさ」 「おまっ…ふざけんなよ!飲物を大事にしろ!戦時中は飲物なんて全然なかったんだぞ!飲物のありがたみを知れ!」 「戦時中は配給でミロが配られてたんですよね。」 「お前ほんっと馬鹿だな!」 「さっさと用事の話しろやァァァ!!」
いい加減、用事の話しろよォォォ!私、ずっとここでアンタのつまらない話に付き合ってあげてたんだからさぁ!早くしないと授業始まっちゃうって!
「ああ、そうそう。それなんだけどさ。」 「うん」 「お前、高杉の面倒見てね」 「……」
「はぁぁあああああぁぁぁああ!?」
自分でもびっくりするくらいでかい声が出た。廊下にも聞こえてただろう、今の声は。
「嫌だよ、そんなん!めんどっちぃ!大体なんで私!?私、アンタのパシりじゃねーよ!何が見てねだよ!ちょっと可愛らしく言ってもやだよ!あれ?なんかこれ前も言わなかった!?」 「いや、だって高杉、お前のこと気に入ってるからさぁ」 「いやいやいやいや、関係なくね!?」 「大有りだよ」
てか、高杉が私のことを気に入ってるって時点でおかしいと気づけ。アイツが私を気に入ってると思うか!そんな態度まったく示してこなかったぞ、アイツ!それでも、言うか!言うのかァァァ!?
「だから、とりあえず、授業出るように言っといて。じゃ、出てけ」 「用事ってそれ!?くっそ、こんなことなら来なきゃよかったよ!」 「お前、真面目だな。Z組の連中なら普通来ねェぞ。」 「あの人たちは普通じゃないの!常識を遥かに超えた人なの!」 「はいはい。分かったから出てって。」 「ジャンプ読む気だろ、お前ェエ!分かった、ジャンプは私が預かっとくから」 「それ、お前が読みたいだけだろォォォォ!やめろォォォ!俺のジャンプ返してぇ!お願いだからねぇ!!」
絶対、返してやんない。今週、お金なくて買えなかったから調度いいや。読もう。
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